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Jリーグ 10年前

南米特有の“上手い”ラヌスに柏はどう対抗したのか? スルガ優勝の要因となった“ダーティー”を受け入れる強さ

text by 鈴木潤 photo by Getty Images

「ものすごく良い経験を積めた」(大谷)

 そしてもちろん、南米カップ王者たる由縁は、個々のスキルや球際の激しさだけではない。柏の守備組織を攻略するため、ラヌスは「流動的に動いて中盤の枚数を増やしたり、減らしたり、洗練されていた」(大谷)というように、ラヌスの2トップは、状況によって1トップとトップ下の形を取り、柏の3バックのマークから逃れたばかりでなく、中盤に降りることで中盤のパス回しを優位に進めていた。

 先週末、ラヌスに近い攻撃スタイルを持つ川崎も、大久保嘉人、小林悠が柏の守備に穴を空けようと流動的な動きを見せており、ラヌスの攻撃への対応の仕方は、柏の守備陣もイメージができていたはずだった。しかし大谷の言葉通り、柏の守備網を上回るラヌスの組織力が洗練されていたゆえ、後半の柏は相当押し込まれた。

「こういうゲームをすることで、チームとしても、選手個人としても、ものすごく良い経験を積めた」(大谷)

 やはり国際試合でなければ得られない経験はある。それに、Jリーグのジャッジの基準では、ファウルの多い試合となり、試合そのものの展開自体が違ったものになっていただろう。今回のスルガ銀行チャンピオンシップで優勝したのは柏だったが、アルゼンチンのラヌスは、南米らしいうまさ、力強さ、したたかさを兼ね備えた、非常に洗練されたチームだった。

【了】

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