南米特有の“ダーティー”なプレーを柏の選手たちはどう感じたか?
また、柏がビルドアップのために最終ラインでスローなパス回しをしている時には、後方の選手が連動して付いてきていないにも関わらず、柏の3バックに対し猛然とプレスを仕掛けてくる。
大谷秀和は「Jリーグなら、後ろの選手が付いてきていなかったら、そこは行かないで引いて守るところを、ラヌスは前線の選手を含めて『自分のところでボールを奪い取ってやろう』という意識がものすごく高かった。組織以前に、個人個人の部分で勝負を決めるという意識の強さを感じた」と話していた。
球際の攻防では、さらに激しさが増す。試合前、ブラジル出身のネルシーニョ監督からは「アルゼンチンの選手は、競り合いではレフェリーの見えないところで肘を入れてくる。足を踏んでくる」と忠告があったようだが、先制点を挙げた高山薫は試合後、「監督の言った通りでした」と苦笑いを見せた。
工藤もまた、「ワンツーで抜け出た後に、相手の肘が入ってきた。そこで怯ませようとする意図を感じる」と振り返っている。それは時に“ダーティー”という言葉で表現され、批判を浴びることもある。
だが、柏の選手たちは、そういったプレーを批判するというよりは、むしろ「勝利に対する欲求の強さ。駆け引きの1つ」と捉えている。その点を、大谷は次のように説明する。
「全てを綺麗にプレーすることは素晴らしいことだと思いますけど、止めなければいけない場面、局面で自分がやられない、絶対に抜かせてはいけないというプレーは、逆にサッカー選手としての成熟を感じる。その意識は勉強になったし、個人個人のレベルが高いと感じた」
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