4年間で高めたはずのチーム力とは何だったのか
「自分たちのサッカーで世界を驚かせる」
そのためにやるべきことはやってきたという手応えと自信が、選手たちにも指揮官にもあった。昨年の停滞期を乗り越え、チームはさらに成長したという思いもあっただろう。大会直前、香川は「勝つことで日本というものを世界に知ってもらいたい」と目を輝かせていた。
しかし、W杯で向き合うことになったのは厳しい現実だった。初戦のコートジボワール戦で何もできないまま1対2の逆転負けを喫すると、チームには大きな動揺が走った。続くギリシャ戦では、それまでずっとレギュラーとして出てきた香川がスタメンから外された。代わってサプライズ招集を受けた大久保嘉人が抜擢されたが、望んでいた結果は出なかった。
そして他力本願の奇跡を信じて挑んだコロンビア戦。指揮官は1トップに大久保、ボランチに今大会初出場の青山を置くという、ギリシャ戦に続いて馴染みのない布陣で戦った
が、1対4で玉砕した。
「自分たちが4年間やってきたサッカーを出して、最高のサッカーをして相手を苦しめて勝ちたい」(長友)
誰もがその思いを抱いてブラジルの地に乗り込んできたが、今から振り返ってみると、この4年間で積み上げてきたものとはいったい何だったのか。選手たちから魂を焦がすような気迫が感じられたのは、コロンビア戦の前半くらい。その程度の重さのものだったのだろうか。
また、指揮官は4年間ほぼ同じメンバーを起用することで連携を深めてきたはずなのに、最後になって突貫工事のような采配を見せた。その戦術的な意図自体は理解できるものの、ではそれまでの4年間でやってきたことはいったい何だったのか。
相手の出方にうまく合わせる戦い方をするのなら、もっと前からいろんな選手を組み込んで、戦術的多様性を深めておくべきだ。
戦いを終え、日本に戻ってきた大久保はテレビのインタビューでこう発言していた。
「今まで4年間、みんなずっと積み上げてきたものがあったなかで、一回だけ代表に呼ばれてプレー時間が45分間しかなかった俺が選ばれた。そんな俺がW杯の試合に出るようでは、そこまであまり積み上がってないのかな、と思った」
ザックジャパンを総括する上で、これ以上に説得力のある言葉はあるだろうか。
【了】
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