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香川真司 10年前

マンU「ICC」制覇も、2シーズンで失われた香川の輝き。「長いシーズン、必ず出番は来る」で満足か?

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

香川が生きるのは“ヘビーメタル”なショートカウンター

 ルーニーやヤング、チーム全体が昨シーズンとは打って変わって良いパフォーマンスを見せているのは監督の違いだろう。しかし、ファーガソンでもモイーズでもファン・ハールでも、クロップの下でプレーしていた頃の姿を見せられないのなら、もはやチーム自体にフィットできない存在なのかもしれない。

 もちろん、移籍の噂はあくまで噂。アトレティコ・マドリーが本当に獲得を狙っているかは分からないし、香川本人がユナイテッドでのプレー続行を望んでいるのであればそれを応援するのがファンだ。

 しかし、本当に期待したいのはビッグマッチで輝きを放つ香川の姿だ。カップ戦や下位クラブとの試合ではない。話を戻すと「長いシーズン、必ず出番は来る」と言っている人々は、彼が試合に出さえすれば満足なのだろうか? それはあまりにも過小評価しているのではないだろうか?

 そもそも、マンチェスター生まれでもイングランド生まれでもない日本人の香川にとって、マンチェスター・ユナイテッドというクラブはキャリアを捧げるほどの価値があるのだろうか?

 仮に、アトレティコの興味が本当なら絶対に受けるべきだ。以前、香川について「ポゼッションにおけるゲームメイカーではなく、ショートカウンターで生きるセカンドストライカーだ」と書いたが、アトレティコはまさにハイプレス&ショートカウンターの“ヘビーメタル”なチームだ。

 現在の欧州トップクラスのクラブでは、ドルトムントと最も近いサッカーをしているチームと言える。物事に絶対はないが、香川の活躍できる環境は整っている。

 何より日本人という以前に、いちサッカーファンとしてドルトムント時代の唯一無二でカリスマ的な能力を持った香川という選手が消えてしまうのは悲しい。

 香川真司は、試合を1人でひっくり返す力を持っている。しかし、それは“ブリットポップ”なクラブ、マンチェスター・ユナイテッドでは難しいだろう。

【了】

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