「何度か閃きがあった」。一定の評価を得た本田だが…
酷評は当然攻撃陣にも向く。「サポナーラは一生懸命インサイドMFの動きを練習中で、ポーリは組み立ての人間ではないことも証明。そして前線の攻撃陣は意思疎通が取れない様子で、エル・シャラウィやニアングの個人技に頼るばかりになっていた」とガゼッタ紙は厳しく分析した。
当然、「周囲と意思疎通が取れていなかった」のは本田も然りで、シティ戦では「砂漠の中を喉をカラカラにして宛もなくさまよう者のようだ」などと昨季さながらの批評も書かれた。
しかしリヴァプール戦でのパフォーマンスは少しばかり好意的に報じられていた。コリエレ・デッロ・スポルトのマッチレビューの中では「本田からは何度か閃きがあった。特に後半33分、ニアングが同点と出来るようなチャンスを作りだしたのは彼のパスによってだった」と書かれ、中継を担当した衛星TVスカイスポーツの実況も「後半途中からの前線には良い連係が出来ている」と伝えていた。
たしかにこの試合では、動きにメリハリが出ていた。スペースへ出るべき時には出て、また中へ絞ってボールを受けるべきときは受ける。地元紙のレポートにあったニアングへのワンタッチへの裏へのパスだが、3月29日のキエーボ戦でカカーのゴールをアシストして以来の綺麗なラストパスだったように思う。連係の向上を通し、こうしたプレーを毎試合コンスタントに続けることが肝心だ。
もっとも――こちらも対称的なのだが――、右に回っても立場は不動とメディアに予想される長友に対し、本田の名前は各紙の予想スタメンの中になく、リザーブを示すカッコ付きになってさえいない。
しかも今、インザーギ監督がテストする右ウイングには別の選手の補強さえ噂されているが、今後開幕までどれだけ“序列”を上げることが出来るのだろうか。
【了】
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