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Jリーグ 10年前

J2戦線異状あり。J1経験クラブの不振と新興勢力の躍進

J2が荒れている。湘南は既に独走態勢に入っており、上位には松本や岡山という新興勢力の名前が。一方、かつてJ1に所属していたクラブが苦戦を強いられている。ここまでのJ2を改めて振り返りたい。

text by 青木務 photo by Kenzaburo Matsuoka

湘南、松本、磐田。下馬評の高かった3チームが上位を争う

 23節を終えて獲得した勝点は66。2位に19ポイント差をつける驚異的なペースで首位を突き進む、“強すぎる”湘南ベルマーレ。昨年はJ1で結果を出せず降格となったが、そのサッカーは昨シーズンも評価されていた。2012年から指揮を執る曺貴裁監督が攻守にアグレッシブなスタイルをチームに植え付け、今シーズンはJ1昇格候補のひとつと目されていた。

 とはいえ、まさかここまで独走するとは驚きである。開幕9連勝でJリーグ記録を更新。その後も止まらず、いつ負けるかがクローズアップされるほど突出した成績を叩き出した。

 15節の愛媛FC戦に敗れて記録はストップしたが、翌節から再び連勝を続けている。日を追うごとに注目度が高まっていった湘南は、ひとつの負けで土台が崩れるようなヤワなチームではなくなっていた。

 高いレベルを目指して毎試合を戦っているからこそ得られた結果だ。決して満足することなく、監督は選手たちに常にいいパフォーマンスを要求し、選手たちもそれに応える。チームの中にそのような空気が流れているから、いくら勝っても誰一人気を抜くことがないのだろう。

J2戦線異常あり。J1経験クラブの不振と新興勢力の躍進
松本山雅FCの反町康治監督体制も3年目を迎える【写真:松岡健三郎】

 2位の松本山雅FCは、コツコツと階段を登ってきた。県リーグ、地域リーグ、JFL、J2とカテゴリーを上げる度に成熟し、今年はJ1昇格のチャンスである。昨シーズンは苦い経験もした。リーグ最終節までJ1昇格プレーオフ進出を争ったが、最後は得失点差で下回り7位に終わった。

 文字通り、2014年は勝負の年だ。反町康治監督体制も3年目を迎え、松本も湘南同様にスタイルが確立されている。個々の運動量が豊富でどんな相手にも走り勝てる。またFK、CK、スローインなどリスタートからの攻撃も得意としており、様々な形からゴールを狙える。こうした“飛び道具”は松本の大きな武器となっている。

 ジュビロ磐田は現在3位だが、狙うはもちろん自動昇格だ。決して悪い成績ではないが、もっと勝っていなければならないチームでもある。前田遼一、駒野友一といった元日本代表が残留し、南アフリカW杯メンバーの松井大輔も補強。戦力的にはJ2の中で頭一つ分抜けており、そもそもJ1から降格すること自体も予想外だった。

 当然だが、今シーズン開幕前から下馬評は高かった。昇格は間違いないと多くの人が思っているだろう。実際に上位をキープしているが、選手の実力を考えると、湘南ほどではなくとももう少し他を圧倒していてもおかしくはなかった。

 シャムスカ氏を新監督に迎え、試行錯誤を繰り返していることも影響しているのだろう。また、対戦相手も警戒して挑んでくるという難しさもある。だが、シャムスカ監督の目指すサッカーも少しずつ浸透し、後半戦はもっと調子が上がってくるのではないか。

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