ギラヴァンツ北九州へレンタル移籍を経て成長を実感
その後、木鈴は菜入に付き合ってランドに出入りするうち、せっかくだから一緒に練習しようとコーチから誘われ、小4の夏頃には正式に加入することになったという。
「ヴェルディに入ってから、プロしか考えたことがない。ジュニアではジュニアユースを目指し、その次はユース、そしてトップに上がらなければいけないものだと思っていました。
ユースの最後の年、2010年の夏はよく憶えています。本当に巧い選手がそろっていて、後ろからプレーを見ていて『うまっ』と思わず声が出ちゃうくらい(笑)。
僕のセービングで守り勝った試合なんて、ほとんどないんですよ。先に失点しても必ず取り返してくれるという安心感があって、大学生、社会人、どんな相手でも負ける気がしなかった」
おれたち、どこまで行っちゃうんだろうなぁ――。
そう思いを馳せた盛夏から、幾度も季節はめぐった。2011年トップに昇格し、2012年は木鈴とともにギラヴァンツ北九州へレンタル移籍、2013年に復帰した。
試合出場こそなかったが、成長は実感している。この前まで触れなかったシュートに、グローブの先端がかするようになった。次は指先を当てることができた。そうして、もう少し、もう少しと懸命に腕を伸ばす。
二度の右ひざ故障を乗り越え、薄紙を重ねるごとく、地道な取り組みを続けてきた。その成果を発揮するときが、ついに訪れようとしている。
「先輩から学ぶことはまだまだ多く、ユースの後輩であるポープ(・ウィリアム)の存在もいい刺激になっています。ふたつ下で、年代別代表にも入っている。負けられない」