若いセンターバックが奮闘する鹿島
J1再開初戦となったFC東京戦。鹿島アントラーズは0-1とビハインドを背負いながら、後半終盤に豊川雄太のゴールで1-1に追いついた。微妙なレフェリングで試合が若干荒れ、試合後にはトニーニョ・セレーゾ監督が「両チームに過度な緊張感、緊迫感が生まれてしまった。(レフェリーは)もう少し柔軟に対応できたのではないかと思う」とコメントした。
ただ、リードを許す中で追いつけたことは収穫だった。鹿島にもチャンスはあったが、FC東京が複数得点を奪っていてもおかしくない試合だった。それでも鹿島が1失点で乗り切れた。そこには若い2人のセンターバックの奮闘があった。
21歳の昌子源は今年4月、国内組のみで行われた日本代表候補合宿に呼ばれた経験を持つ。最終メンバーには残れなかったが、ポテンシャルの高さを示した。19歳の植田直通は2011年のU-17W杯に出場し、ベスト8進出を果たしたチームのメンバーだった。2人ともこのまま順調にキャリアを積んでいけば、先日就任が発表されたハビエル・アギーレ日本代表監督の目に留まる日が来るはずだ。
このセンターバックコンビを信頼して起用しているセレーゾ監督は、彼らについてこう話している。
「若いセンターバック2人にはミスもあるが、彼らの頑張りを称えたい」
勝利を義務付けられる鹿島でのプレーは、毎試合ヒリヒリした緊張感があるだろう。それがセンターバックというミスの許されないポジションなら尚更だ。だが、そういう経験が若者を百戦錬磨の戦士にしていく。
秋田豊や岩政大樹など、鹿島には頼りになるセンターバックがチームを鼓舞し、支えてきた。クラブのレジェンドと比べれば、まだやるべきことは山のようにある。それでも、偉大な先達を超えられるだけのポテンシャルを2人は持っている。
常にタイトルを渇望するクラブだからこそ、妥協を許さない周囲に付いていけば個人の成長スピードも上がる。昌子と植田には、現状に満足せず奮闘を続けることが求められる。