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本田圭佑 10年前

完敗のミラン、指揮官は強気も現地は辛辣な評価。「トロントの惨状。オリンピアコス相手にこれでは…」

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

カウンターへの脆さは一時期のローマのよう

 インザーギは現在、組織的なポゼッションサッカーの構築へと挑んでいる。アンカーのクリスタンテが最終ラインまで下がり、両サイドバックは高く上がる。こうして後方からしっかりとパスを繋いで組み立て、ポーリとサポナーラの両インサイドMFも積極的に前線の攻撃に参加する。

 攻守分業の趣が強かったアッレグリ、結局は前線任せだったセードルフらの前任者と比べると、攻撃サッカーの構築に対する志は高い。監督の言葉通り、良くパスは繋げていた。しかしその分、ボールを奪われたあとのカウンターには滅法弱かった。前半16分、後半5分の2失点はロストからのカバーが間に合わず、がら空きになった後ろのスペースを崩されたものだ。

 またこういう攻撃サッカーの場合、組織的にプレスをかけられるかどうかが守備力を大きく左右する。3点目はボウカラキスの見事なミドルシュートによるものだったが、その前ではプレスが薄く、シュートを打たせる余裕を十分に与えていた印象があった。

 カウンターへの脆さは、2年前のルイス・エンリケ監督が指揮していたローマの姿とかぶった。選手のコンディションが上がり走れるようになり、戦術理解も進めば問題は解消されるのかどうか。さもなくば、リーグ戦では狙い撃ちにされること請け合いだ。

 インザーギは「チャンスも作っていた」ともいうが、フィニッシュワークの構築もまだ不十分だろう。パッツィーニは孤立し、エル・シャラウィが良い形でシュートまで行けたのも試合を通じて1度だけだった。連係がどこまで深められるかも、プレシーズンで注視すべき課題となった。

 最後に13分間出場した本田についてだが、合流して間もなく、体を作れていなければ戦術練習もこなしていない状態では、さすがにプレーについての評価はしづらい。チーム戦術は本人好みになろうとはしているが、果たしてどのポジションでやれるのか。今後の動きに注目したい。

【了】

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