なでしこリーグの上位争いが、ここ数年とは打って変わって混戦模様だ。2011年から2013年はINAC神戸レオネッサが栄華を極め、3連覇を果たした。澤穂希、大野忍、川澄奈穂美らなでしこジャパンのメンバーを多数揃え、リーグを席巻した。
今シーズンは主力が移籍したものの、未来のなでしこジャパンと呼べる若手が控えており、今シーズンもINACがリーグを引っ張っていくものと思われた。ところが、開幕戦を落とすとまさかの2連敗を喫した。
その開幕戦でINACに勝利したのが浦和レッズレディースだ。昨シーズンは残留争いに巻き込まれるなど不振に陥ったが、若手が成長し、攻守にアグレッシブな姿勢を前面に押し出して今シーズンは首位をひた走る。5月に行われたAFC女子アジアカップには猶本光ら5選手をなでしこジャパンに送り出した。
そんな浦和レッズレディースと今節に対戦するのが日テレ・ベレーザだ。過去3シーズンはINACの後塵を拝し、いずれも2位に終わっている。今シーズンこそは頂点を奪い返したいところだったが、第5節から3連敗を喫するなど調子を落とし、首位に大きく差をつけられていた。
なでしこリーグはチーム数が少なく、そのためひとつの負けが順位に大きく影響する。中でも6月の浦和レッズレディース戦のパフォーマンスは、当時の不調ぶりを如実に表していた。ボールを保持しても、一人ひとりのサポートの意識が低いためパスが繋がらない。浦和レッズレディースの自信に満ちたプレスをいなすことができず、球際の争いでもことごとく敗れた。結果も0-2で完敗だった。
普段は飄々とプレーする阪口夢穂が試合中に珍しく苛立ちを露にし、キャプテンの岩清水梓は試合後、「自分がやるんだという気持ちを一人ひとりがもっと出さないと」と危機感を募らせていた。
だが、3連敗という事態はベレーザの選手たちの目を覚まさせることになった。翌節のINAC戦に競り勝つと、そこから破竹の6連勝を飾り3位に浮上した。
そして今週末、ベレーザは再び浦和レッズレディースと激突する。前回対戦時は何もさせてもらえず、相手の好調ぶりをこれでもかと味わわされた。
だが、この敗戦を機にベレーザも調子を上げ、あの時からひとつの試合も落としていない。自分たちの現在地を確認するには、浦和レッズレディースはうってつけの相手だ。首位チームを相手にどこまで戦えるか、そして勝利という結果を掴めるか。
INACが一時代を築くまで、なでしこリーグはこの2チームが引っ張っていた。その意味でも互いに負けたくないという思いは強い。文字通り、プライドを懸けた一戦となる。
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