ウクライナのクラブをロシアが編入
歓喜と悲哀に満ちたブラジルW杯が終了した。次の2018年、W杯が行われるのはロシアである。
インフラは大丈夫か? 気候は? 移動距離はどうなる? 便乗値上げは? 日本代表の主力になるのは? ブラジル大会を踏まえ、サッカーファンからは早くも次の大会へ向けたさまざまな声があがっている。
だが、重要なことを見逃していないだろうか。本当にロシアでW杯が開催されるのか、という点だ。
多くの人がご存知の通り、ロシアはウクライナ領のクリミア半島に軍事侵攻した。そしてプーチン大統領はクリミアの編入を承認(2014年3月)。ロシアから見れば、クリミアはもうロシア領なのだ(ウクライナなど多くの国は認めていない)。
サッカー界への行動も早かった。クリミアにあるチーム、SCタフリヤ・シンフェロポリとFCセバストポリがロシアリーグに編入されたのだ。ここが焦点となる。
FIFAの規約によれば、他協会への編入にはFIFA、各大陸の連盟(今回の場合はUEFA)、両協会の承認が必要となる(第84条より)。ロシアサッカー協会はウクライナサッカー協会と編入で合意したと発表したが、ウクライナ側は否定している。情報の発信源もロシア政府の息がかかった同国紙イズベスチヤだ。
そして、UEFAもFIFAもサッカーへの政治関与を禁じている。先日もナイジェリアが資格停止処分を受けた。同国のサッカー連盟の会長が解任され、裁判所がスポーツ大臣に任命権を与えたためだ(編注:解任が撤回されたことからこの処分は後日、解除された)。
今回の編入が政治的なものだと判断されれば、FIFAやUEFAはロシアへ制裁を課す。クリミア問題がこじれてしまえば、チャンピオンズリーグへの参加禁止やW杯開催権の剥奪という最悪のケースも考えられる。
可能性は低くはない。現状では、編入を承認・合意しているのはロシアだけだからだ。