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岡野俊一郎と金子勝彦が語る日本サッカー(その3)TV中継に何が必要で、何が欠けているのか?

ただ騒ぐだけの日本のW杯中継を見ていると、無性にこの2人の言葉を聞きたくなった。元JFA会長の岡野俊一郎氏とフリーアナウンサーの金子勝彦氏。現在のサッカー中継に求められることについて、その草分け的存在である二人に語ってもらった。

text by 藤江直人 photo by Getty Images , editorial staff

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解説者が好き勝手なことを言ってもらっては困る

金子 そのような(正しい言葉をサッカーファンに広めようとする)スタンスを取る解説者が、残念ながら今は見当たらない。その意味では『三菱ダイヤモンド・サッカー』で約20年、およそ1000回にわたってご一緒させていただいた僕は最高の幸せ者でした。

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岡野俊一郎氏【写真:編集部】

岡野 あまり厳しく言ってしまうと身も蓋もなくなってしまうけれども、自分がどのような経緯で解説者を務めているのかということを、いま一度考えて欲しいんですね。監督経験者なのか、コーチ経験者なのか、あるいはトッププレーヤーのキャリアを終えた直後なのか。

 自身の立場を十分に理解していれば、体験に基づいた解説もまた違ってくる。僕を含めて、解説者とは権威者ではないんです。僕は日本のテレビでサッカー放送が始まった黎明期から解説をさせていただいて、一人であれこれ考えて、BBCを含めた海外の放送も見て研究してきました。

 同じことをいまの人たちが経験することはできないけれども、勉強することの大切さは昔もいまも変わらない。キャリアを終えたら自動的に解説者になって、好き勝手なことを言えるというのではやはり困りますよ。野球や他の競技を含めて、しっかりと勉強をしている人の解説は聞いていてすぐにわかりますからね。

金子 今年からJ3が創設されたことに伴い、中継するスカパー、Jスポーツも視聴者の新規開拓の狙いを込めて解説者を若手にシフトしました。全国で50人くらいいて、中には僕が知らない方も少なくない。

 ただ、非常に申し訳ないんだけれども、解説を聞いていられないんですね。解説者は一般教養も問われてくるので、彼らには時期尚早なのではないかと担当プロデューサーに苦言を呈したこともあります。実際問題として日本サッカー界を貶めてしまいますよ。

 W杯で負けたことは、Jリーグにも決してよくない影響を与えると僕は憂慮しています。観客動員をアップさせ、視聴者も増やしてともに栄えていかなければ、財政的にもJリーグは危機に陥ってしまいますよ。チェアマンの村井さんにお会いしたときに、はっきりと申し上げるつもりです。

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