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タミル・イーラムや南オセチア、ダルフールなど。FIFAから閉め出されている代表チームによる、もう一つのW杯

text by 実川元子 photo by 実川元子

サッカーが共同体の結束を強くする

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北イタリアのパダーニア代表は優勝候補の筆頭に挙げられていた強豪チーム。バロテッリの弟(前列右から2番目)も加わり破格の攻撃力を見せた

 イタリア北部を流れるポー川流域の平原を意味するパダーニアは、イタリアの連邦制を主張する極右政治団体「北部同盟」の支援を受けているが、監督や選手は口を揃えて「政治はまったく関係ない。俺たちはサッカーをしているだけ」と強調した。

 イタリア代表のエース、マリオ・バロテッリの弟で、イタリア三部リーグでプレーするイーノック・バルアーがチームに加わったことでメディアの注目を集めた。各選手はテクニックに長け、戦術が浸透した組織だったプレーでプロリーグのチームに遜色ないレベルを披露した。

 だが優勝候補筆頭にあげられる強さにおごったか、必死さを欠いたプレーが散見され、ほかのチームと違って試合を重ねるごとにチームがばらばらになっていった印象を持った。結果は6位。

 サープミは、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアにまたがるサーミ人の文化地域を代表するチームで、地元ということもあって試合には大勢の地元サポーターが駆けつけた。だが、地域リーグがシーズン中のため選手の大半が招集できず、学生主体で戦ったためか最後まで勢いに乗り切れなかった。結果は10位で、地元の期待に応えられず。

 準優勝のエラン・バニンはまとまりのあるよいチームだった。農業と牧畜しか産業がない小さな島では、大半の若者は大学進学で島を離れて島外で就職する。昨秋、大会参加決定後、クリス・バス監督は米国や英国在住の若者たちに連絡を取って選手を選抜。クリスマスに帰島したときから練習を始めた。

 グループリーグ第1試合でナゴルノ・カラバフに試合終了間際に逆転勝利して勢いがつき、試合を重ねるごとにどんどん内容がよくなっていった。中盤でチームの攻撃の指揮をとっていたジャック・マクヴィ選手は「僕らは幼いときから一緒にボールを蹴ってきた。チームワークはたぶんどのチームにも負けない」と胸を張った。

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