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タミル・イーラムや南オセチア、ダルフールなど。FIFAから閉め出されている代表チームによる、もう一つのW杯

text by 実川元子 photo by 実川元子

FIFA加盟承認には政治や理事の思惑が働く

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大会期間中は「サープミ・ウェルカム」という地域あげての文化イベントでサーミ伝統音楽のライブやセミナーが開催された

 FIFAが加盟承認の原則として挙げているのが「国際社会に主権国家として認められた国のサッカー協会であること」だ。だが、209の加盟協会の中には、この原則に沿わないところが英国の4協会をはじめ、香港、台湾やパレスチナまで23もある。

 一方で、米国や日本をはじめ107ヶ国に独立国として承認されているコソボ共和国はFIFAに加盟できていない。その理由を「国際連盟に加盟承認されていないから」とFIFAは説明する。

 だが、太平洋に浮かぶキリバス共和国については、国連に加盟しているにもかかわらず、「定期的にリーグ戦を行っておらず、国際試合ができるホテルがないなどインフラが整っていない」という理由でFIFAは加盟を承認していない。インフラを理由にあげるなら、英領モントセラトの加盟承認をどう考えたらいいのだろう?

 モンテセラトではリーグ戦は行われず、インフラも十分ではなく、国連に非加盟だ。つまり、FIFAの加盟承認には政治や決定権のある理事たちの個人的思惑も含めた恣意が働いている、と考えざるをえない。

 FIFA非加盟の国際組織は、実は10年以上前からあった。フランス人のジャン=リュック・キット、モナコの旅行代理店を経営するクリスチャン・ミシェリとベルギー人の弁護士リュック・ミッソンの3人が2003年に創設したニュー・フットボール・フェデレーションズ・ボードだ。

 NFボードと略して表記される組織名には、NON FIFA(FIFA非加盟)の意味が含まれる。ちなみに創設者の一人のミッソンは、ジャン=マルク・ボスマンの代理人として、EU加盟国の国籍を持つサッカー選手が移籍により大きな自由を得ることになったボスマン判決を引き出したことで有名だ。

 NFボードは2006年以降ほぼ隔年でVIVA W杯という国際大会を世界各地で開催し、男子だけでなく女子の大会も開催するなど盛んに活動していた。VIVA W杯には、欧州、アジア、アフリカ、南北米大陸から最多で15チームが参加し、FIFAから閉め出されている人々にとって、サッカーを通して自分たちの存在と文化を世界に示す大切な場になっていた。

 ところが創設者であり運営責任者である3人の関係が悪化し、2013年3月についにNFボードは解散してしまう。組織の趣旨や運営方法をめぐる対立ではなく、個人的な感情がこじれての仲違いだったという。

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