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ブラジルW杯から読み解く戦術の潮流。オランダ対メキシコ戦で見えたハンドボール化する未来型サッカー

text by 西部謙司 photo by Getty Images

ハンドボール化したサッカーの4局面

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オランダの武器となったロッベンの個人技【写真:Getty Images】

 リードされたオランダは、従来型の4-3-3に変えて同点を目指す。メキシコに逃げ切られそうになりながら逆転までいけたのは、また別の武器を持っていたからだ。セットプレーでの高さ、そしてロッベンの個人技だ。もともといつもよりパスワークに自信のないオランダが盛り返せたのは、パワープレーとCK、そしてPKを誘ったロッベンのドリブルがあったからだ。

 サッカーには主に4つの局面がある。

 ポゼッション、カウンター、被ポゼッション、被カウンターの4つだ。ハンドボール化したサッカーでは、攻守の4局面が非常にはっきりした形で表れる。割合としてはポゼッションによる攻撃、被ポゼッションの守備という構図が続く。膠着するわけだ。

 ちなみにスペインは4局面のうち主に2つだけでゲームを進めようとするチームだった。“ティキ・タカ”を使ってプレスを無力化し、ポゼッションを続ける。敵陣でボールを失っても素早くプレスして短時間で回収する。カウンターも上手いが、ほとんどポゼッションと被カウンターの組み合わせで試合を進めてしまう強さを持っていた。

 しかし、本来は強みであるはずの被カウンターの守備でオランダを抑えられず何と5失点を喫してしまう。オランダのカウンターのスピードに対抗できなかった。そして、オランダの被ポゼッション守備を崩しきれなかった。

 2局面ないし3局面で勝負するチームは多いが、未来のサッカーでは4局面で高いレベルにあるチームが目標になる。オランダ対メキシコは、どちらもポゼッションとカウンターに優れ、被ポゼッションと被カウンターの守備力でも均衡していた。そのため、ハンドボール化した未来型の試合展開となっていたわけだ。

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