ハンドボール化したサッカーの4局面
リードされたオランダは、従来型の4-3-3に変えて同点を目指す。メキシコに逃げ切られそうになりながら逆転までいけたのは、また別の武器を持っていたからだ。セットプレーでの高さ、そしてロッベンの個人技だ。もともといつもよりパスワークに自信のないオランダが盛り返せたのは、パワープレーとCK、そしてPKを誘ったロッベンのドリブルがあったからだ。
サッカーには主に4つの局面がある。
ポゼッション、カウンター、被ポゼッション、被カウンターの4つだ。ハンドボール化したサッカーでは、攻守の4局面が非常にはっきりした形で表れる。割合としてはポゼッションによる攻撃、被ポゼッションの守備という構図が続く。膠着するわけだ。
ちなみにスペインは4局面のうち主に2つだけでゲームを進めようとするチームだった。“ティキ・タカ”を使ってプレスを無力化し、ポゼッションを続ける。敵陣でボールを失っても素早くプレスして短時間で回収する。カウンターも上手いが、ほとんどポゼッションと被カウンターの組み合わせで試合を進めてしまう強さを持っていた。
しかし、本来は強みであるはずの被カウンターの守備でオランダを抑えられず何と5失点を喫してしまう。オランダのカウンターのスピードに対抗できなかった。そして、オランダの被ポゼッション守備を崩しきれなかった。
2局面ないし3局面で勝負するチームは多いが、未来のサッカーでは4局面で高いレベルにあるチームが目標になる。オランダ対メキシコは、どちらもポゼッションとカウンターに優れ、被ポゼッションと被カウンターの守備力でも均衡していた。そのため、ハンドボール化した未来型の試合展開となっていたわけだ。
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