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ブラジルW杯から読み解く戦術の潮流。オランダ対メキシコ戦で見えたハンドボール化する未来型サッカー

text by 西部謙司 photo by Getty Images

オランダとメキシコのスタイル

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ミラーゲームとなったオランダとメキシコの対戦【写真:Getty Images】

 サッカーはミスのスポーツといわれるが、技術が進歩すればミスは減っていく。つまり、ハンドボールに近づいていく。ゲームの様相も、用いられる戦術もハンドボールに近づいていくに違いない。だからサッカーの未来がハンドボール化するのは必然だと思っていたし、今もそれは変わらない。

 オランダとメキシコは、どちらもパスワークに優れたチームだ。ただ、今回のオランダは伝統の4-3-3によるポゼッション・スタイルではなく、5バックによるカウンターアタック主体のプレーを選択していた。

 今回のオランダはいつもほどパスワークに自信がなかった。しかも、グループリーグの緒戦はスペイン戦で、オーストラリア戦を挟んで最後がチリ。さらに、このグループを突破しても次の相手はブラジルかメキシコになる可能性が高かった。

 確定の2試合がポゼッションで劣勢になると予想され、おそらくもう1試合も同様。ルイス・ファン・ハール監督が、相手にボールを支配されることを前提にカウンター型の戦術に転換を図ったのは、そうした事情によるものだった。

 アリエン・ロッベン、ロビン・ファン・ペルシー、ウェスレイ・スナイデルの3人の能力を生かすにもカウンターアタックは有効であり、若手が台頭してきた守備陣も充実していた。選手の特徴にも合っていたわけだ。

 一方のメキシコは、オランダのFWほどスーパーなタレントはいないものの、コンビネーションを使った崩しを長年にわたって追求してきた。

 オランダはもともと5バックで分厚く守るつもり。3-5-2のメキシコも引くときは人数をかけて守る。互いにボールが収まってしまえば、簡単には奪われない技術を持っていた。

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