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日本代表・惨敗の内実【その2】指揮官のサイド放棄で失われたバランス。柿谷の不調で狂ったプラン

ブラジルW杯に臨んだ日本代表はグループリーグで敗退してしまった。「自分たちのサッカー」は実践できず、事前に指摘されていた欠点ばかりが目立つ大会になってしまったが、コンディショニングやキャンプ地の選定に問題はなかったのであろうか。GL敗退直後、今大会を現地取材した4人のライターが、徹底討論した。

text by 中山佑輔 photo by Getty Images

【その1】はこちらから

「自分たちのサッカー」の前提が整っていない

飯尾 「自分たちのスタイル」、「自分たちのサッカー」に話題を移しましょう。選手だけでなくザッケローニも「自分たちのスタイル」と言っていますが、「自分たちのサッカー」にこだわっていたことについて、あるいは「自分たちのサッカー」自体について、どう思いますか。

清水 それをやらせてもらえない可能性をもっと考えなかったのかっていうのはすごく疑問に思う。コートジボワールの日本対策にしても、ああいう風にくるっていうことを、全くノーマークだったのかっていうことは不思議です。全然対応がなかったから、それは結構驚きました。

河治 そうですよね。結局のところ、どんなに強いチームでも、「自分たちのサッカー」はありつつも、上位に進出するチームはそれ以外の戦い方を必ず持っているんですよね。

 もともとザッケローニ監督はすごくチームのバランスを重視していた。僕はその最たるものが、アジアカップの頃に見られたサイド攻撃だと思っている。彼はサイドからスタートしたらサイドで攻めきれと言っていた。

あれはその実、攻撃面の話ではなくて、ディフェンスのスタート位置をある程度明確にすることが目標にあった。まずサイドで終われば、そこからディフェンスをスタートできるから相手をサイドに追い込める。でも、コンフェデあたりの頃から、中央からの攻撃が多くなって、どこで攻撃が終わるのか、どこでボールを失うかがわからなくなった。

飯尾 後ろの選手にとっては苦しいですよね。

 そうです。「自分たちのサッカー」をしようというのであれば、それに対してどうリスク管理をするのかっていうのは、監督の仕事でもある。でもそこまで選手に任せてしまって、ボールを取られたらもう壊滅的だったじゃないですか。

もちろんスコアも状況もあるんですけど、あのサッカーをやろうとするのであれば、奪われた時のトランジションとリスク管理が重要。でも日本はあれほどトランジションが遅くて、尚且つプレッシングの強度も弱いのに、あのサッカーをやろうとしてしまった。正直言って、全然前提が整ってない。

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