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ザックジャパンはなぜ攻撃偏重のスタイルだったのか?“自分たちのサッカー”から考える日本の進むべき道

text by 西部謙司 photo by Getty Images

日本サッカーは方向性を変えるべきか

 プレースタイルは勝つための合理性の追求から生まれる。

 スペイン、ブラジル、イタリア、ドイツなどのW杯優勝国は確固としたスタイルがあるといわれてきた。近年はそれも変化してきた感があるが、それぞれに合理的なスタイルを築いていた。そして、日本も頂点を目指すならスタイルを持つべきだという意見がある。

 だが、W杯で優勝しないかぎり、優勝するためのスタイルは確立できない。本当に合理性があるかどうかわからないからだ。

 日本のスタイルがアジアで有効なのは確認できている。アジアカップで優勝しているし、W杯予選も4回通過している。アジアとW杯の間にあるレベルのギャップが問題だ。この差を埋める強化策は今後の大きな課題になる。

 戦術的にはカウンター対策が必要だ。1対1の守備力が上がれば現状でも解決できるが、それが難しければカウンターに組織で対抗するしかない。2人の対応は1対1と変わらないので、3人のセットでしのぐ方法しかないだろう。

 また今回のチームにはなかった、引いて守る戦い方も身につけたい。W杯での日本の立ち位置を考えると、守備的な戦い方はどこかで必要になる。二面性を持ったスタイルは進化の過程で避けられないはずだ。

 具体的にはサンフレッチェ広島の方式はヒントになるだろう。コンビネーション、ポゼッション、機動力といった日本の長所を含み、深く引いて人数をかけた守備という今大会の日本になかった一面も持っている。ノウハウも国内にある。ただし、ペトロヴィッチと森保がどちらも現職なので当面代表監督のオファーはできない。

 日本にとって参考になるメキシコ、チリはどちらも継続的な強化を行ってきた。古い井戸を顧みず、出るかどうかもわからない新しい井戸を掘り始める愚は犯さないほうが賢明ではないだろうか。

【了】

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