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ザックジャパンはなぜ攻撃偏重のスタイルだったのか?“自分たちのサッカー”から考える日本の進むべき道

text by 西部謙司 photo by Getty Images

ザックジャパンの節目となった試合

 本来、「自分たちのサッカー」は結果を出すためにある。スタイルを貫いて負けるのであれば、スタイルが間違っているということになるはずだ。

 だが、そんなに単純な話でもない。

 日本が「自分たちのサッカー」へ傾倒するには、いくつかの節目があった。

 ブラジルに0-4で大敗する前には、フランスに1-0と勝っていた。このフランス戦は、ほとんど「自分たちのサッカー」ができず、押し込んでいたフランスが決定機を外し続けているうちに、日本がカウンターから1点を奪って勝った試合だ。日本の選手は誰も内容に満足していなかった。次のブラジル戦は思い切って攻撃を仕掛け、日本の長所はある程度発揮された。結果は0-4だった。

 コンフェデ杯の緒戦で再びブラジルと対戦したときは、もっと守備的な戦術で臨んでいる。結果は失点が1点減った0-3。

 これ以降、W杯へつながるスタイルが決まる。次戦のイタリアとは3-4。ザッケローニ体制下でもベストといわれる試合だった。もっとロースコアの勝負にする道もあったと思う。0-4が0-3になり、やがて0-2、0-1と僅差勝負に持ち込むための強化方針だ。

 ただ、それではいつまで経っても善戦どまりで勝つ確率は大して上がらない。10回に1回ぐらい勝てるとして、W杯のたびにその1回を引き当てるように祈るだけでは、宝くじのようなサッカーになってしまう。

 日本サッカー協会がザッケローニ監督に期待したのは、攻撃力のアップだった。いわば0-4を1-4に、やがて2-4、3-4にする強化方針をとったわけだ。

 もちろん得点を増やして失点を減らせればベストだが、サッカーは「寸足らずの毛布」であり、そう簡単にはいかない。よほどの強豪以外は、どのチームも表裏一体の長所と短所を持っている。

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