古い井戸に水はあるか。検証はそこから始めるべき
2006年W杯のグループリーグで敗退した後、新しい日本代表監督に就任したイビチャ・オシムが、「新しい井戸を掘る前に、古い井戸もみてみるべきだ」という趣旨の発言をしたのを覚えている。
まだ水が出ている井戸を放棄する必要はない。つまり、グループリーグで敗退したからといって、すべてを否定するのはナンセンスだということだ。
「強い者が勝つのではなく、勝った者が強いのだ」
フランツ・ベッケンバウアーの言葉として伝えられているが、サッカーに関しては全く正しくない。強くて優れたチームの敗退は頻繁に起こり、間違って勝ってしまうチームも少なくない。勝てば官軍、負ければ賊軍。勝者はすべてを正当化できるだけで、実際に正しいかどうかは別の話なのだ。同様に、敗者だからすべてがダメだったとはいえない。
2014年ブラジルW杯、日本代表は何ができて、何ができなかったのか。古い井戸からはまだ水を汲めるのか、掘らなければいけない新しい井戸とは何か。そこから検証すべきだろう。
今回選抜された23人の中には、年齢的に次回もプレーできる選手が多く含まれている。ブラジル大会のメンバーを一新し、まったく新しい選手でチームを編成すれば、もっと強くなるだろうか。人材に関していえば、古い井戸には十分水が残っている。
【次ページ】ザックジャパンの節目となった試合