日本代表へのコメント。締めはなぜか大島優子
逆に、「ジャンク・スポーツ」のように、バラエティーの文脈の中に現役のアスリートをハメこんで、笑いを取りに行くタイプの番組もある。
いずれの場合も、スポーツとバラエティーの境界を曖昧にすることによって、双方の世界を台無しにしている、と、少なくとも私個人はそう思っている。同じ感想を抱いているスポーツファンは多い。
が、局は、ミクスチャー演出をやめない。
タレントにスポーツを語らせ、アスリートにお笑いのコメントを振り、選手の家族を「ビッグダティ」風の同時進行実録ドキュメントVTRの素材として消費し、あくまでも、すべての要素をバラエティーの枠組みで処理しようとしている。
で、こうした現状を受けて、私は、様々な媒体で、スポーツ番組の堕落を告発し、中継放送のバラエティー化に警告を発し、アスリートの使い捨て傾向を嘆き、ジャニーズとAKBと吉本興業の業界支配に対して非難の声を上げてきた。
しかしながら、状況はまったく改善されない。改善されないどころか、時々刻々深刻さの度合いを深めている。
今回の例で言えば、たとえば、フジテレビのW杯デイリー番組には、サブキャスターとして若手漫才師のコンビが配置され、「スペシャル・サポーター」という肩書で、AKB48を卒業(←脱退と違うのだろうか)したばかりの大島優子というタレントがキャスティングされていた。
番組の内容については、どう書いても腹が立つだけなので割愛する。
問題はエンディングだった。
エンディングの企画は「日本代表にモノ申す」というもので、番組に出演していた元日本代表選手や、評論家の面々がそれぞれのメッセージを述べるというものだった。
この一連のコメントの「シメ」は、大島優子に委ねられた。
つまり、そういうことなのだ。フジテレビにとっては、ラモスよりも、森岡隆三よりも、清水秀彦よりも、優子ちゃんの方が大切で、「格上」な存在だったということだ。