クロスの精度・質の低さ
日本は世界に例を見ないようなハイレベルなワンタッチでのコンビネーションプレーを実現するポテンシャルを秘めていますし、昨年秋のオランダ、ベルギーとの親善試合でもそれは見えました。そこには日本独自の3つの要素があり、1つ目が日本人は味方の考えを汲み取る能力が高いこと。
「阿吽の呼吸」という表現がありますが、これは確実に日本の長所となります。2つ目は、狭い局面でも難しいテクニックを発揮することができる点で、ボール扱いは他国の選手よりも長けています。
3つ目が俊敏性で、日本人は狭いスペース、短時間でトップスピードに入ることができます。この3つの要素を活かしていくことで、他国にはない日本オリジナルのコンビネーションプレーが生まれ、それを狭いスペースで発揮すればW杯のような舞台でもきっちりとフィニッシュ、得点で終わる攻撃が可能となります。
フィニッシュの局面でもう1つ気になったのが、サイドを突破した時のクロスの精度です。長友、内田がサイドを突破してクロスを上げる時に課題として見えたのは、彼らのクロスの質・精度、つまりテクニック以上にグループとしてのオーガナイズ不足でした。
どこに誰が走り込むのかという前線の動きを整理すること、約束事を作って整理することでクロスを上げる選手がポイントを絞りやすくなりますが、それが見えませんでした。今、欧州トップレベルで狙い所になっているのは、DFラインとボランチの間、第2列目のスペースになります。
なぜなら、多くのチームが4バックを採用しており、ゴールエリアの幅に3人(CB2枚と逆サイドのSB)がラインを形成してゴール前のスペースを埋めるのがクロス対応における守備セオリーです。
すると、そのDFラインとボランチのライン間のスペース、ペナルティエリアの中で言うとPKスポット付近にスペースができやすいため、そこに誰が入り込むかが重要なポイントとなります。
このポイントを共有した上で、ニア、ファーのスペースを見極め、相手の守備の仕方に応じてクロスの種類を選ぶことになります。このように整理をすることで、クロス時のフィニッシュの精度が上がりますし、シュートでプレーを切ることでカウンター、ピンチの数も減らすことができます。