8年前のような「冬の時代」は訪れない?
8年前のドイツでの結果について、当時の私は第2次世界大戦直後のわが国の惨状に重ねながら「日本サッカーの焦土」と表現した。
惨敗そのもののショックもさることながら、右肩上がりだった日本サッカーの象徴的な存在だった中田英寿の突然の現役引退発表、そして失敗の検証がなされないままに次期代表監督がなし崩しに発表されたことなど(当時の川淵三郎会長による「オシムって言っちゃったね」発言)、当時の状況はかなり危機的な状況にあったと認識していた。
実際、代表人気は一時的な陰りを見せ、業界的にもいくつかの専門誌が休刊となり、私自身も連載を失った。あのような時代は、もう二度と繰り返してほしくない、というのがこの業界に禄を食む者のひとりとしての率直な想いである。
もっとも悔しさこそ残るものの、今の私は8年前と比べてさほど悲観していないのも事実だ。8年前が「焦土」ならば、今回の場合は「高度成長期の終焉」「石油ショック」といった印象である。
少なくとも8年前に比べれば、選手個々の技量や国際経験は格段に上がった。ファンのサッカーに関するリテラシーもまた、確実に向上している。W杯で思うような成績が残せなかったといって、急に「冬の時代」が訪れるようなことはないだろう。
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