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「自分たちのサッカー」とは何だったのか? ジーコ時代との相似点と日本代表を巡る8年周期の問題点

text by 宇都宮徹壱 photo by Getty Images

アジアでの強さと世界大会での誤算

 とはいえ、より正確を期するなら、それらはW杯以前の、ある時期において実現していた。

 たとえば04年に中国で開催されたアジアカップでは、それまでジーコが求めていた「選手たちの自主性」が、ピッチ上ではもとよりピッチ外でも発揮され、スタメン組もサブ組も一体となってチームの勝利のために貢献しようという気概に満ちていた。

 また、今大会のアジア3次予選では、ホームでの序盤2連戦でオマーンに3-0、ヨルダンに6-0といずれも大差で勝利し、圧倒的なポゼッション率からゴールを重ねる代表の姿を見て「これぞ日本が目指すべきサッカー」という明確なメッセージをファンの間に植えつけることに成功した。

 その一方で、アジア以外の強豪国との試合でも、日本は善戦または勝利をすることで、次第に自信を深めていくようになる。ジーコ時代には、04年の欧州遠征で当時FIFAランキング4位だったチェコに1-0で勝利し、翌年のコンフェデレーションズカップでもブラジル相手に2-2と互角に近い戦いを見せた。ザッケローニ時代でも、13年のコンフェデでイタリア相手に善戦(3-4で惜敗)、さらに同年の欧州遠征でオランダとベルギー相手に勝ち越すなど、着実な強化が進んでいることを強く印象づけた。

 ところがどちらの日本代表も、それまでテーゼとしてきた「自由と自主性」や「自分たちのサッカー」が、肝心のW杯本番になってまったく失われてしまい、いずれも極めて不本意な結果に終わってしまう。

 確かに、指揮官自身にも問題はあった。ジーコの場合、明らかにコンディショニングで失敗し、初戦の13日前に行われたドイツとの親善試合でチーム状態がピークを迎えてしまった。そのためオーストラリア戦では、コンディションを崩した選手が続出。

 しかしジーコは、次のクロアチア戦でも調子が戻らない柳沢敦をスタメンで起用したり、急激な気候の変化で発熱した中村俊輔を3試合フル出場させたりと、首をかしげたくなるような選手起用を繰り返した。

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