W杯でのゴール、精度は高くない?
ACミランに移籍して以降も、この「体幹をアップライトに保つ」という長所は維持できています。これは良いことです。しかし、冒頭で述べたような肉体的な短所である「腰の固さ」はどうにも払拭されていません。腰の固さが、彼のすべてのプレーに悪影響を与え、パフォーマンスアップを阻害しているのです。
例えば、とっさに出てくるボールに反応できないこと。本田選手が、ゴール前でこぼれ球を拾って決めるというシーンは少ないと思います。昨季はミランで1点しか取っていませんが、CSKAモスクワ時代や日本代表時代を思い起こしても、それほど多くないのではないでしょうか。腰が柔軟に使えれば骨盤が動き、付随して股関節も動き、脚がついてきて、とっさのボールにも対応できるのです。
最近のプレーですと、ブラジルW杯コートジボワール戦の得点は一見スーパーゴールのように見えますが、個人的にはそれほど精度の高い得点だと思っていません。このシーンでも、やはり腰が反ったまま固まってしまっています。バランスを崩しながらのゴールであり、もう一度同じボールが来た時に同じゴールを決められるとは限らないと思います。
本田選手は確かにキープ力がありますが、反転して前を向くプレーが苦手です。これも、腰の固さに起因しています。腰を柔らかく使え、身体をうまくひねることができれば次のプレーにスムーズにつなげることができますが、本田選手の今の肉体はそれが難しい状況にあります。
本田選手の動きをスローモーションで見ると、右に体重がかかったときの動作が気になります。右に大きく重心が傾いてしまうことで、次の動作が遅れ気味になっているのです。こういう身体の動かし方では、ドリブルでスピードに乗った状態から切り返しができません。したがって、相手を抜くことも難しくなります(同様の症状は香川選手にも見られます)。