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「ブラジルは生まれ変わる必要がある」。W杯の醜態で岐路。フィジカル重視の育成法でクラッキ絶滅の危機に

text by 下薗昌記 photo by Getty Images

随所に過ちを犯したスコラーリ。ネイマール不在で凡庸なチームに

 ネイマール以外にクラッキと呼べる選手はいない、というのがブラジルメディアの基本的な論調で、フィジカル重視の育成を再び疑問視する声が公然と上がりだしたものの、ドイツ戦の大敗に関しては、やはり指揮官の無策が原因だという見方が強い。

 大勢のメディアを呆れさせたのがドイツ戦の前日練習だった。ネイマールとチアゴ・シウバの不在を受けて、5パターンぐらいのフォーメーション練習を行ったスコラーリ監督だったが、実際にドイツ戦のピッチに送り出したのは誰もが予想し得なかったベルナルジを先発に配置する奇策。

「君たちジャーナリストがあの場にいてテレビで情報を伝えるから対戦相手は見聞きできる。相手を混乱させたかった」とあえて手の内を隠したという意図を示したものの、組織立ったプレスを仕掛けて来るドイツを想定した紅白戦も行わず、やはり経験不足のベルナルジに期待をかけたのは明らかに愚策だった。

 いかにドイツが好チームとは言え、アルジェリアやアルゼンチンなど守備に軸足を置いたチームは接戦を演じており、逆に大敗を喫したのはポルトガルとブラジルのみ。少なくとも中盤を手厚くする3ボランチで守備的に入るべきだった。

 2002年にチームを優勝に導いた名将だが、昨年のコンフェデレーションズカップ以降、随所に過ちを犯してきた。昨年の秋以降、負傷がちでトップフォームにはほど遠かったフレッジに固執したばかりか、フレッジ不在を想定した戦術は皆無に近かった。

「ネイマール依存症」と批判され続けてきたチームは、まさに背番号10の離脱とともに得点の香りがほとんど感じられない凡庸なチームに成り下がっていたのだ。

 結局フレッジは3位決定戦で初めて先発から外れたものの6試合でわずか1得点。W杯のセレソンでは過去最低のCFとしてその名を刻むことになった。

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