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レヴィー・クルピが語る、日本がW杯で実力を発揮できなかった最大の要因とJリーグへの提言

text by 沢田啓明 photo by Hiroaki Sawada , Getty Images

力を入れるべき下部組織での選手育成

レヴィー・クルピが語る、日本がW杯で実力を発揮できなかった最大の要因とJリーグへの提言
山口蛍【写真:Getty Images】

 山口は、せっかく最初の2試合で先発出場するチャンスを与えられながら、積極性が物足りなかった。どこか自信がなさそうだった。

 コートジボワール戦では、チーム全体が押されている状況で、自分からそれを押し返すようなプレーができなかった。守備ではある程度、持ち味を発揮していたが、もっと攻撃にからんでほしかった。とりわけ、ギリシャ戦では相手が深く引いていてマークする相手がいない時間帯が長かったのだから、もっと積極的に前へ出ていくべきだった。

 柿谷と清武は、与えられた出場時間があまりにも短かった。それは、大会前の時点で、監督の信頼を得られていなかったから。日本代表でレギュラーを務める実力はあるのだが、大会へ向けてうまく調整できなかったということだろう。

 今回の残念な結果で、わざわざブラジルまで応援にやってきた多くの日本人サポーター、そして日本国内で時差を乗り越えてテレビで応援していたサポーターは、さぞかしがっかりしていることだろう。

 日本代表は、2002年大会以降、一次リーグ突破(ベスト16)と敗退を交互に繰り返している。つまり、現時点における実力は、その中間にあると考えていい。

 世界の強豪国の仲間入りをするには、まだまだ精神面、フィジカル能力、技術、そしてアイディアを磨く必要がある。そのためには、Jリーグの各クラブが下部組織での選手育成にさらに力を入れる必要があるし、Jリーグのレベルを向上させる必要がある。

 プロリーグを創設してから欧州各国は100年前後、南米各国は80年前後の歴史を持っているが、日本はまだ22年にすぎない。ここまでの成長は目覚しかったが、そう簡単に欧州、南米に追いつけるはずがない。

 それでも、焦ることなく、しかし着実に成長を続けてゆけば、いずれ世界の強豪に追いつき、追い越すことができる。そのことを信じて、日本のすべてのサッカー関係者に地道な努力を継続してもらいたい。

【了】

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第一章 クルピ流選手の伸ばし方 創造性、やる気を引き出す指導法
第二章 香川真司の磨き方
第三章 柿谷曜一朗の磨き方
第四章 桜の戦士たちの育て方 山口蛍、清武弘嗣、乾貴士、杉本健勇、南野拓実、扇原貴宏、丸橋祐介
第五章 私の生い立ちとブラジルでの選手・監督時代 など

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