コロンビア戦。限界を露呈した組織での守備
ギリシャに勝てなかったことで、日本は精神的に追い込まれてしまった。このような状況で、日本の選手が能力を発揮するのは容易ではない。
コロンビア戦では、前半からリスクを承知で攻めたが、本来、日本選手はこのような戦い方が得意ではない。不用意なPKを与えて先制され、それでも本田からのクロスを岡崎が頭で決めて追いついた。これも、状況判断とアイディアと思い切りの良さによって生まれた得点だった。
後半になって今大会のベストプレーヤーの1人であるハメス・ロドリゲスが出てきてから失点を重ねたのは、現状では仕方がない。彼を一人で抑え切れる選手は今の日本にいないし、組織で守るにしても限界があるからだ。
この3試合を通じて改めて浮き彫りとなったのが、日本選手の精神面の弱さだ。
内田、長友、本田、岡崎らは欧州でプレーしているだけに、気持ちの面で負けていなかった。試合を通じて、概ね冷静な判断を下していた。しかし、困難な状況で精神的な弱さを露呈し、強い気持ちを維持して闘い続けることができない選手がいた。
根本的な守備力の問題もある。
日本の場合、サイドバック、攻撃的MFには欧州でも通用する選手がいるが、CB、GK、ボランチ、CFでは非常に少ない。優秀なCB、GK、CFを育てるためには、将来大柄になる素質があるタレントを十代前半までにスカウトしてきて、かつてそのポジションで高いレベルでプレーした経験を持つ専門のコーチをあてがい、計画的に育成するしかないだろう。
技術面に関して、日本選手はかなり高いレベルに到達している。しかし、いくら高度なテクニックを持っていようと、それを実戦で発揮できなければ全く意味がない。その点で、ほとんどの日本選手が問題を抱えていた。
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