「世界王者! 世界王者! 世界王者! 世界王者!」
前日の夕暮れ、日曜日の街角は荘厳で深い高揚に覆われていた。駅前には、ドイツ代表のユニフォームを着た人々が目立つ。皆どこかソワソワしている。海の向こうで戦争が始まる。W杯の決勝を戦う国の雰囲気は、あまり良い例えではないが、静かに開戦が迫っているような、巨大な非日常だった。
そしてアルゼンチン代表を激闘の末に1-0のスコアで下した翌日の月曜日、街角はいつもの日常を取り戻しながら、メディアは祝福のムードで包まれた。
7月14日付のビルトの一面では、「1:0」というスコアと「世界王者!」という見出しとともに、ゲッツェが満面の笑みで駆け出した。
ビルトは記事の書き出しに「世界王者! 世界王者! 世界王者! 世界王者!」と「世界王者」という言葉を4度書き連ねながら、「ありがとう、ヨギ! ありがとう、若者たち! あなたたちは我々を計り知れないほど幸せにした」として、監督レーブと主将ラームを始めとする選手たちに目一杯の敬意を表している。
「我々は指揮官ヨギ・レーブにお辞儀をする」と記して、同様に、ラーム、ノイアー、クローゼ、ミュラーを始めとする選手たちにもお辞儀をする、とした。「我々の若者たちは今や世界王者の英雄たちである。我々は君たちを誇りに思う!」
他には血を流しながらも闘ったシュバインシュタイガーを大きく取り上げて、ビルトは記事の最後を「我々はこの日を決して忘れはしないだろう」として締めくくっている。
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