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バルサ、スアレス獲得の背景。100億超えの移籍金捻出の理由と“噛み付き”によるさらなる波紋

text by 山本美智子 photo by Getty Images

波紋を呼ぶスタジアムの出入り禁止

バルサ、スアレス獲得の背景。100億超えの移籍金捻出の理由と“噛み付き”によるさらなる波紋
サッカー史において、スアレスは史上最悪なケースなのか?【写真:Getty Images】

 だが、現時点では入団記者会見の日時すら決まっていない状態だ。FIFAはW杯でのスアレスの行為に対し4ヶ月間の謹慎処分を申しつけたが、その条件の中には「スポーツ施設に足を踏み入れてはいけない」というものがあり、カンプ・ノウでのお披露目すら、処分が終わるまでは許されないからだ。

 さらに、練習場、ジムなどの出入りも禁止、練習も禁止、クラブの名のもとに行うボランティア活動も禁止、と過去にないこの厳重処分に、スペイン国内では、“やり過ぎ”とFIFAへ非難の声があがっている。

 実際、一選手への処分というよりは、刑事事件を起こした犯人扱いしているようだし、ボランティア活動などプライベートな部分にまでFIFAに首を突っ込む権利は果たしてあるのか。

 FIFAは大会のオーガナイザーだが、ピッチ内での判断を行うのは、本来ジャッジに任された仕事ではないのか、という根本的な疑問も拭えない。例えば、チャンピオンズリーグ(CL)で犯したファウルはCL内で償うものであり、その処分が国内リーグ戦や国王杯に適用されることはない。

 なぜ、W杯での出来事を所属クラブが払うハメになるのか? 過去にこういったケースがなかったということは、サッカー史において、スアレスは史上最悪なケースなのか? もちろん、罪を庇うわけではない。

 自ら犯した過ちの代償を支払うのは当然だが、ジダンがフランス代表で頭突きした時のお咎めは、「3試合の謹慎処分+FIFAの青少年プログラムの仕事を行うこと」だった。スアレスの「ボランティア禁止」と全く異なり、同じ組織が下している処分とは思えない。

 ルイス・スアレスのバルセロナ上陸は、当分、余波を呼びそうだ。

【了】

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