シュールレの突破からゲッツェが決勝点を決める
約1ヵ月間に及ぶ4年に1度の大会を締めくくる決勝戦にふさわしい激闘だった。時計の針が進む度に終わってしまうのが惜しい気持ちが膨らんでいく。そんな気持ちにさせてくれる両者の戦いだった。
ドイツはポゼッションの面で優位に立ちながらも、前線からのハイプレスを常に怠らずショートカウンターでチャンスを作る。対するアルゼンチンは、ドイツのプレッシャーをかいくぐり、高く設定された相手DFラインの裏を突くことでチャンスを作った。
選手のパフォーマンス、チームのゲームプラン、監督の采配…。全てがハイレベルで正面からぶつかり合った試合だったからこそ拮抗した展開となり、得点がなくても120分があっという間に感じられた。
そんな試合で明暗を分けたのは途中出場した選手の存在だった。ドイツは、MFクリストフ・クラマーが相手選手と衝突した影響で前半31分にFWアンドレ・シュールレと交代。後半43分にはFWミロスラフ・クローゼに代わってFWマリオ・ゲッツェが投入された。
そして、延長後半8分、シュールレが左サイドをドリブルで突破してクロスを上げると、ボールを受けたゲッツェが胸でトラップして左足でシュート。これがアルゼンチンのGKセルヒオ・ロメロの左脇をすり抜けてネットへ。
ドイツは24年ぶり4度目、東西統一後では初となるW杯優勝を決め、ゲッツェはマン・オブ・ザ・マッチに選出された。
ドイツは、MFサミ・ケディラのウォームアップ中の負傷による直前の先発変更や、そのケディラに代わって先発したクラマーのアクシデントを乗り越え、途中出場選手の活躍もあって栄冠を手にした。まさにチーム一丸の優勝と言えるだろう。