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Jリーグ 10年前

終電後、居酒屋に男子四名。そのうち一人は『サポーター』

週替わりで複数の論者が一つのテーマを論じ合う『J論』。今週のテーマは「W杯の日々から思う、Jリーグという日常」。いよいよW杯もクライマックスを迎えているが、J1リーグも7月15日から再開を迎える。この「僕らの日常」についてあらためて考えてみたい。今回は有料メルマガ評論家の渡辺文重が、ちょっと違う視点からJリーグの現在に思いを寄せる。終電後の居酒屋に男子四名。突然始まるFC町田ゼルビアの話。そのうち二名は、サッカーに興味がない......。

text by 渡辺文重 photo by Asuka Kudo / Football Channel

突然のゼルビアトーク

終電後、居酒屋に男子四名。そのうち一人は『サポーター』
FC町田ゼルビアはJ3に所属するチームだ【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 終電を逃した男4人で、新宿の居酒屋に入った時のことだ。どのような流れでそういう話になったか記憶は定かでないが、私の対面に座る男は、こういう風に話を切り出した。

「僕はFC町田ゼルビアってチームを応援しているのだけどね……」

 FC町田ゼルビアはJ3に所属するチームだ。私はそこそこサッカーに詳しいとの自負があり、J1とJ2の情報はそれなりに抑えていたが、正直、J3に関しては守備範囲外であった。現在のゼルビアについて知っていることと言えば、かつてJ2に在籍していた時に所属していた平本一樹や勝又慶典が、今は他クラブでプレーしていることぐらいだ。私でさえそんな感じなのだから、スポーツには関心がないという残りの男二人は、当然、ポカーンという顔をしていた。

 ゼルビアについて語る、私よりも1学年上の男は、気配りができることで知られた人物だ。アニメ好きな私といる時はアニメや声優の話で盛り上がり、落語が大好きだという左斜め前に座る若い男といる時は、好きな落語家の話で盛り上がっていた。もし、この場に女性がいたならば、きっと、おいしいスイーツの話などをして飽きさせなかっただろう。

 そんな彼が、何とか失礼にならない程度に関心を示そうとしている男たちを前に熱弁をふるっている。そう、彼は「サポーター」なのだ。私は適切なタイミングでうなずき、分かりにくい語句が出てきたら残りの二人に解説をする役割に徹することにした。

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