『強力な攻撃陣に対して守備に難あり』の両チーム
点の入らない試合は楽しくない、攻撃的じゃないと楽しくないという人もいる。120分を戦って0-0、オランダのシュート数7本に対してアルゼンチンは8本。ロッベンもファン・ペルシーも、メッシもイグアインも封じられたこの試合は、それでも見応え十分だった。
スコアレスドローはハイライトVTRを作りにくいし、結果を知った上での録画観戦はつまらない。しかし、ライブでの観戦は時に点の取り合いよりも面白い。世界最高レベルの激突であれば尚更だ。
この両者は、大会前には『強力な攻撃陣に対して守備に難あり』という評価を下されていたチームだった。
オランダは、ブリント、ヤンマート、デ・フライ、マルティンス・インディが20代前半という若さから、経験不足を度々指摘されてきた。さらに、29歳のフラールは負傷の影響もあって期待されていたほどの選手にはなれず、この守備陣に不安を抱く声も少なくは無かった。
対するアルゼンチンも、メッシやアグエロ、イグアインを擁する攻撃陣に対して守備陣は、サバレタ、ガライ、デミチェリスら実力者がいるものの、前線との戦力差を嘆く人も多かった。
しかし、本大会が始まると、オランダは大会直前から取り入れていた5バックが機能。カウンターからスペインを5-1で下すなど、2大会連続の決勝進出へ王手をかけていた。
アルゼンチンはベスト16・スイス戦、ベスト8・ベルギー戦と2戦連続1-0で勝利。ベスト4進出チームで唯一となる決勝トーナメント無失点でこのオランダ戦に臨んだ。
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