堅守崩壊で歴史的大敗。ブラジル人サポーターもドイツを讃える
バイエルンのパスサッカーをベースに、ドイツの巨人たちが軽やかなボール回しを見せるのとは対照的に、ブラジルはサンバのリズムとはほど遠い最終ラインからの無謀なロングボールを多用。
前半に限ってはシュートに至る場面も皆無に近く、批判の的となり続けているフレッジにはシュートチャンスさえ供給出来ていなかった。
わずか6分間で4得点というゴールラッシュを許し、前半で0-5。事実上試合の大勢は決していたブラジルではあるが後半から、パウリーニョとラミレスを投入し、3ボランチをベースとした4-3-3に移行する。
後半、何度かチャンスは作り出したブラジルではあるが、フレッジのみならず前線のタレント力やフィニッシュの精度は明らかにドイツに劣っていた。
チームの完成度と経験値で遥かに勝るドイツに対して7失点したことも、確かに「VEZAME(恥辱)」ではあるが、今大会のセレソンが抱え続けていた問題点は試合終了間際に辛うじて1点を奪うにとどまった攻撃陣の低調さに集約される。
ネイマールの活躍とハーフカウンターからの鋭い攻撃でコンフェデレーションズカップを征した王国ではあるものの、中盤の構成力は今大会終始低調なまま。両SBの攻撃参加が少なかったのも、ボール奪取に長けたボランチ型の選手を多用したことも遠因だった。
戦術的にまとまったチリやメキシコにも苦戦したことを指摘されたスコラーリ監督は「我々はメキシコとチリに引き分け、今大会注目されたコロンビアには勝利した。今日の試合はドイツがCKから先制し、我々は混乱に陥った」とあくまでも偶発的な展開だったことを強調したが、チームの質の差は明白。
愛するカナリア軍団がしばしば見せて来たはずのゴラッソ(スーパーゴール)を79分にシュールレが叩き込んだ後、ブラジル人サポーターはスタンディングオベーションで讃え始める有り様だった。
ネイマール依存症としばしば批判されてきたチームにとって、最後の砦だったはずの堅守までもが脆くも崩壊し、ドイツに歴史的な大敗を喫したブラジル。64年前の悲劇の舞台となったマラカナンスタジアム辿り着くことさえなく、サッカー王国は準決勝で姿を消した。
【了】
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