クロースはフェルナンジーニョに、ケディラはグスタボへと仕掛ける
ドイツ代表にとっては、今大会で最も戦いやすい相手となったかもしれない。
2014年7月8日、ドイツ代表はベロオリゾンテの地でブラジル代表と準決勝を戦う。
スターティング・メンバーは、GKノイアー、右SBラーム、CBはボアテングとフンメルス、左SBヘーヴェデス、シュバインシュタイガー、ケディラのダブルボランチに、2列目はエジル、クロース、ミュラー、そしてワントップにクローゼだ。そのままフランス戦と全く同じ先発陣である。
チアゴ・シウバとネイマールが欠場することとなったブラジル代表は、ダンテがディフェンスラインに、ベルナルジが2列目に入った。主将とエースが抜けてしまったことで、引き出しを開け切ってしまったと言っても良かった。
マルセロがミドルシュートを放ち、またロングボールのサイドチェンジから左サイドのフッキの折り返しを、ベルナルジが中央で合わせようとするなど、序盤はブラジル代表が攻勢を仕掛けるものの、徐々に流れはドイツへと傾いていく。
ブラジル代表を相手にして、ドイツ代表はプレスの標的をダブルボランチとした。クロースはフェルナンジーニョに、ケディラはグスタボへと仕掛けて、両者はさらに、ボールが戻されたダンテへと追い縋った。
例えば、まずドイツ代表の両CBにプレスを仕掛けていったガーナ代表と違って、もう少し引き気味にプレスを構築した形である。
これによってブラジル代表の中盤は存在しないも同然となった。左サイドのフッキが引いてボールを受けて、左SBマルセロのサイドアタックを引き出す。攻撃の形はそれ以外に見当たらない。前では誰にもボールが収まらない。引き出しの数はあまりに少なかった。
すると10分、ドイツ代表はブラジル代表のお株を奪うようなカウンターからCKを獲得すると、クロースのキックからミュラーが右足のダイレクトで先制弾を叩き込んだ。