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ネイマール、主将不在でセレソンは大丈夫か? 現地はポジティブな空気。指揮官は代役固める

text by 下薗昌記 photo by Getty Images

エースの不在が、メンタル面ではプラスに働くことも

 ネイマール不在のドイツ戦については後述するが、今大会のセレソンで唯一のクラッキと言われる背番号10を欠くことは間違いなく戦術的には痛手になる。ただ、メンタル面では逆にプラスになり得るというのが多くのブラジルメディアの共通した見解だ。

「これでミネイラッソ(ミネイロンの悲劇)もマラカナッソ(マラカナンの悲劇)もなくなった。選手たちは重圧から解放されるだろう」と指摘する識者もいるが、ネイマール不在の意味はほとんどのブラジル国民が承知済み。仮に準決勝や決勝でも敗れても、大エースを欠いていたという大義名分が立つ、というわけだ。

 1970年大会の優勝メンバーで現在はフォーリャ紙でコラムニストを務めるトスタン氏も「もしブラジルがW杯で優勝したら、それはより英雄的なものになるし、仮に敗れても納得し得る言い訳がある」と記す。

 最大のスポーツ紙「ランセ」も冒頭のコラムで「ブラジル代表には大きな挑戦が控えている。もしもドイツに勝って決勝に進めば、歴史的だ」と準決勝をこんな風に定義づける。

 チリ戦までは敗れた場合のプレッシャーに苛まれていたカナリア軍団ではあるが、エースに起こった悲劇が「優勝が義務」というセレソンの立ち位置を変えたのは間違いない。

 そんな精神的重圧の解放に加えて、チームを後押しするのがネイマールへの思いである。

 ドイツ戦の前日会見でスコラーリ監督は言った。

「我々自身のためと、そしてブラジルという国のためだけでなく、ネイマールのためにもプレーする」

 悲運のエースはうっすらと目に涙を浮かべながら、ブラジルサッカー連盟を通じてこんなビデオメッセージを発表した。

「決勝でプレーする夢は断たれたが、でも世界王者になるという夢は終わっていない。世界王者になるという僕の夢を仲間たちが全力で叶えてくれるはずだ。絶対に彼らは勝って、世界王者になってくれると思う。そして僕も彼らと一緒に王者になる」

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