「攻めの形が歪になれば、その歪みは守備に影響する」
――では、一方の日本代表についてはどのような印象を抱かれているのでしょうか?
「正直なところすべてを見てはないので確かなことは言えないんだが、私が見た限りにおいて言えば、やはりチームとしてのバランスを著しく欠いていたと指摘しなければならないのだろう。
常に自分たちの側から仕掛けていこうとする姿勢、常に主導権を握ろうという考え方そのものは確かに素晴らしい。もちろん間違いではない。高く評価されるべきとは思うのだが、やはりそこに最も重要なバランスを欠く場面が少なくはなかったというべきなのではないか。
バランスを欠いているからこそ、折角の積極的な攻め自体が歪な形になっていたように思う。攻めの形が歪になれば、その歪みは守備に影響する」
――このグループCで最も強く印象に残った場面とは?
「対コロンビアでのジェルビーニョのゴール。『FW』に必要なすべての要素が凝縮されたゴールだったとさえ言えるのではないか。実に有能な選手だ。だけではない、このFWは今後さらに大きく成長していくだろう」
――では、逆に最も“良くない例”として挙げるべきプレーとは?
「ギリシャVSコートジボワール。あのロスタイムでのファウル。最後の最後でギリシャに勝利をプレゼントすることになったあの軽率なプレーは、もちろんそれが往々にして起こり得ることとは言え、やはり厳しく指摘されなければならない。
もっとも、こうした類いのミスはアフリカ勢の試合では決して珍しくはないのだが。そして、だからこそ私は、いつの日か彼らを指導したいと考えているんだよ。それは私の夢でもある。
あれだけの潜在力を持つ選手達が戦術のスキルで今よりも一段上の域に行けば、そして今はまだ欠けているメンタリティを備えるに至れば、非常に高い確率で彼らは世界の列強としての地位を確立してみせるだろう。まさに、アフリカの国々が持つ可能性は無限だ。中でも特にコートジボワールはその可能性に満ち溢れている」
【了】