「残念」ではあったが「失望」ではない
また別の欄では、やはりというか不発に終わったベンゼマについて「期待されたが、消えていた」という厳しい批評もあった。
「彼にはまだ、ジダンやプラティニにように、チームに安堵感を与えてやれるだけのエースとしての器はない」と書かれているが、これは82年の代表を率いたイダルゴ元監督も言っていたことだ。ドイツ戦ではシュートチャンスもあっただけに、決めきれなかった彼への批判は免れないだろう。
しかし、レキップ紙としては表面で「勝利に賭ける意志、欲求をそのプレーで発揮し、観る者を惹きつけるチームへとレ・ブルーを建て直すことができた」というメッセージを送り、他の多くのメディアと足並みを揃えている。
いわく、「残念」ではあったが「失望」ではない。アドベンチャーが終わってしまったことは残念だが、新世代を中心とした再び国民に後押しされる代表チームが誕生したことを喜び、彼らの未来へ期待を馳せようというのがフランス国内の論調だ。
一方、当事者である選手たちのあいだに交錯した思いは「後悔」と「誇り」だ。
「こんな風に終わってしまうなんて残酷で悲しい。でも、恥じる気持ちはない。数ヶ月前は誰もこんな結果が出せるなんて予想していなかった。僕らはフランス代表を建て直すことには成功したんだ」と、今大会フランス代表でもっとも活躍した選手の一人であるバルブエナは顔を上げた。
GKロリスは「暑さや経験値、いろいろな要因があった」と敗因を語ったが、コシエルニーも、経験の差を痛感した一人「ドイツのほうが、経験値がかなり上だと、プレー中にも感じていた」。
ドビュッシーも「時間の稼ぎ方、ボールのキープの仕方…彼らが準決勝常連なのは偶然ではない」と同調した。