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ポゼッションの旗手はスペインからドイツへ。ボール支配率50%も、フランス相手に示した確かなスタイル

text by 本田千尋 photo by Getty Images

フランスの攻撃陣を組織的に守ったドイツ

 ラームは対人においても高いディフェンス能力を発揮する。フランスの左翼で先発したグリーズマンは、ラームを相手にほとんど何も出来ない。フランスの新星の経験不足は明らかだった。

 そしてラームはグリーズマンだけではなく、相手の左SBエブラにもしっかりと対処する。経験の蓄積によって裏付けられたフットボーラーとしての知性は、際立っていた。やはりディフェンスはフィジカルだけでするものではない、ということだろう。

 右SBのラームによって促されたのか、チーム全体のパス交換もスムーズだった。そしてSBにいわゆる「逃げ道」を作ることができる選手がいるので、今やドイツ代表に対して、ただ中央へのプレッシングだけでは効果が出ない。

 フランス代表は、ガーナ代表やアルジェリア代表と違って、プレスの的を絞ることはできないようだった。そのことに加えて、キャバイエにはクロースが、バルブエナにはヘーヴェデスとミュラー、ベンゼマにはボアテングまたシュールレが戻ってしっかり対処するなど、ドイツ代表はディフェンスにおいてもチーム全体で機能した。結果的にフランス代表は上手く力を発揮出来なかったようだ。

 結局13分のフンメルスのセットプレーでの1点のみで、ボール支配率も50%に留まったが、フランスを相手にドイツが一定のパス・スタイルを示したのも事実である。ドイツに比べて格が少し落ちるのは明らかだったが、チームとしての完成度という点では勝るフランスに対して、スタイルを示して勝ち切ったということも、一定の評価を受けて然るべきことだろう。

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