“休憩時間”があったからこその爆発力でチームを救う
さらに、総走行距離の内訳を見てみると、攻撃時に15.4km、守備時に8.3kmと攻守に極端な差が生まれている。
もちろん、ディマリアも攻撃時が18.3kmで守備時が12.5kmと差がでていることから、アルゼンチンがボールを保持している時間帯が長いことも要因だろう。
それでも、メッシと同じく守備時の総走行距離が8.3kmだった選手を見ると、コートジボワール代表DFスレイマヌ・バンバ(3試合出場、攻撃時8.8km)とアルジェリア代表DFジャメル・メスバフ(2試合出場、攻撃時7.2km)であるだけに、メッシがいかに守備をサボっているかが分かる。
しかし、その“休憩時間”があったからこそ、グループリーグ第2戦イラン戦のロスタイム決勝弾も、前述のスイス戦のアシストも生まれたのだ。実際に試合を観ていても、ここぞというときのギアの上げ方は凄まじいものがある。
全ての試合で結果を残し、チームを救う活躍を見せていれば、たとえ守備をサボろうともチームメイトは文句を言えないだろう。
「走れない、走らない」「守備をしない、出来ない」と言われている選手は、メッシ級の活躍を見せなければならない。逆に、メッシ級の活躍が出来ないのなら心を入れ替えて走り続けなければならない。
とは言え、メッシの才能はサッカーの歴史上最高といっても過言ではないだろう。つまり、メッシは「走らない選手」ではなく「走らなくて良い選手」なのだ。
ただ、そんなメッシが平均10kmを走るようになったらどんな選手になるのだろうか? 手の付けられないパーフェクトな選手となるのか、はたまた凡庸な選手に成り下がるのか。その答えを知ることは出来ないだろう。
【了】
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