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勝利の感涙も現地紙は「泣きっ面はうんざり」と批判。負ければ「永久戦犯」、巨大な重圧に苦しむセレソン

text by 下薗昌記 photo by Getty Images , Masaki Simozono

「泣きっ面はうんざりだ」。選手たちへの批判

勝利の感涙も現地紙は「泣きっ面はうんざり」と批判。負ければ「永久戦犯」、巨大な重圧に苦しむセレソン
最大のスポーツ紙ランセも「立ち上がれ、キャプテン」との見出し【写真:下薗昌記】

 23人の選手たちの脳裏に潜在的に刻み込まれているのが1950年の自国開催でまだサッカー王国としての地位を築き上げていなかったブラジルが喫した「マラカナンの悲劇」である。言われのないミスで糾弾された黒人GKバルボーザの悲劇は、ブラジルのサッカー界で良く知られているところだが、W杯敗退のたびに特定の個を戦犯にしたて上げるのがブラジルの悪癖。

「バルボーザの亡霊」が選手たちのパフォーマンスに微妙に影響を及ぼしているように見える。例えば、チリ戦の延長後半、ゴールキックからのカウンターでチリのピニージャが抜け出し、バー直撃弾を放ったが、対応していたのはチアゴ・シウバ。本来の彼であれば、もっと適切な対応が可能だったはずだが、ファウルを恐れたのか体を張り切れずに、容易にシュートを許していた。

 グループリーグのメキシコ戦直前の国歌斉唱ではネイマールが涙し、チリ戦後にもチアゴ・シウバやダビド・ルイスら多くの選手が感涙にむせんだが、アゴーラ紙は6月30日の紙面で「泣きっ面はうんざりだ」と選手たちのメンタル面を批判。最大のスポーツ紙ランセも「立ち上がれ、キャプテン」との見出しで主将の重責を果たせていないチアゴ・シウバを糾弾した。

 ただ、この展開は5月の大会メンバー発表の段階から懸念されていたものだった。チリ戦のメンバーでW杯のレギュラー経験者はGKのジュリオ・セーザルただ一人。フレッジがドイツ大会を、ダニエウ・アウベスが南アフリカ大会でピッチには立っているがいずれもサブだった。チアゴ・シウバも南アフリカ大会の登録メンバーだが一分たりともピッチには立っていない。

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