準決勝進出に湧くシャンゼリゼ大通り
パリの住人は、試合を生で見ていなくても試合の結果はすぐにわかる。街中の車が一斉にクラクションを鳴らしだしたら「フランス勝利」の印だ。
セレブレーションの聖地であるシャンゼリゼ大通りは、トリコロールのフランス国旗を振り回す車や人であふれ、ジャイアントスクリーンが設置された市庁舎前広場には2万人が集結して文字通りのすし詰め状態。ゴールが決まった瞬間には発煙筒を焚く輩までいて、まるで優勝でもしたかのような大騒ぎだ。
まだ8強入りを決めただけなのに、若者たちは「ウォーーー!! 準々決勝!!!」と叫んでいる。
ここ数年、成績、風評ともに低迷していたレ・ブルーにとって、準々決勝進出はそれだけ快挙だということだろう。
なんせほんの7ヶ月前の11月には、予選敗退に片足を突っ込んでいたのだ。そのときレ・ブルーに愛想をつかしていた人たちも、今ではすっかり応援団にまわっている(フランス人はけっこう変わり身が早いのだ)。
『アドベンチャーは続く』(ラ・デペシュ紙)
『レ・ブルー、世界の8強入り!』(リベラシオン紙)
『次はドイツだ!』(パリジャン紙)
といった前向きな見出しが並んだ翌朝の紙面で、最も現状を表していたのがこれ。
『歴史はふたたび動き出した』(レキップ紙)
歴史が、「動き出した」のではない。「ふたたび」動き出したのだ。頂点を極めた後で地に落ちた彼らが、ふたたび高みを目指すルートの上に戻ってきた、ということだろう。各紙の報道の中でも、多く見つけた単語は『ルネッサンス』(再生、復活)だった。