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アルジェリアに苦戦もドイツが見せた強さとしなやかさ。流れを変えたレーブ采配“ラームのポジションチェンジ”

text by 本田千尋 photo by Getty Images

流れを変えたラームのポジションチェンジ

アルジェリアに苦戦もドイツが見せた強さとしなやかさ。流れを変えたレーブ采配“ラームのポジションチェンジ”
ドイツ代表は右サイドのラームを中心として少しずつ勢いを取り戻していった【写真:Getty Images】

 後半開始からはゲッツェに代えてシュールレが投入され、右サイドの高い位置でポジションを取ろうとする。サイドに起点を作ろうとした。しかし、それでもなかなか状況を打開することができない。気温が14度ということもあってか、アルジェリアは良く走った。球際での厳しさ、強さを見せる。

 そんな中、70分のことだった。ムスタフィが負傷して、交代を余儀なくされる。ここでレーブが投入したのは、例えばグロスクロイツではなく、ケディラだった。ケディラをボランチ陣に加えて、ラームを右SBのポジションへ。

 今大会ではボランチとしてのラームを高く評価しているレーブの、ひとつの決断とも言えるだろう。グロスクロイツは縦への突破力があるが、プレッシャーがかかる中での攻撃の組み立て、という点ではラームに遠く及ばない。

 ドイツ代表は右サイドのラームを中心として少しずつ勢いを取り戻していった。78分、ミュラー、シュバインシュタイガーとバイエルン勢で相手のゴールに迫り、80分にはケディラとともにサイドを崩していく。89分、ラームのクロスにシュバインシュタイガーがヘッドで合わせる。ラームのポジションチェンジによって、ドイツ代表は次第に流れを引き寄せていく。

 そして延長戦に突入した直後のことだった。左サイドを突破したミュラーの折り返しを、中央でシュールレが合わせて、ようやく先制に成功する。延長後半には、エジルがゴールに突き刺した。アルジェリアも終了間際に1点を返したが、時は既に遅かった。2-1のスコアで勝利して、ドイツ代表は準々決勝へと駒を進める。

 対アルジェリア代表戦で、結果的にドイツ代表はまた引き出しの多さを示すこととなった。対戦相手によって1試合毎に変化しながら進んでいる、と言ってもいいのかもしれない。1つのスタイルに固執しない。しなやかな姿がまた、強さを観る者に印象づける。

【了】

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