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アルジェリアに苦戦もドイツが見せた強さとしなやかさ。流れを変えたレーブ采配“ラームのポジションチェンジ”

アルジェリアを延長戦の末、下したドイツ。苦しんだ試合をものにしたのはある監督の采配にあった。ボランチのラームを本来のポジションである右サイドバックへ。固執しない変幻自在のスタイルが勝利を呼び込んだ。

text by 本田千尋 photo by Getty Images

サイドから上手く攻撃を仕掛けられなかったドイツ

 ターニングポイントは70分、右SBムスタフィの負傷交代だった。

 2014年6月30日、ドイツ代表はポルト・アレグレの地でアルジェリア代表と決勝トーナメントの1回戦を戦う。

 スターティング・メンバーは、GKノイアー、右SBムスタフィ、CBはメルテザッカーとボアテング、左SBヘーヴェデス、シュバインシュタイガー、ラーム、クロースのトリプルボランチに、左にゲッツェ、右はエジル、そしてワントップにミュラーだ。

 発熱により欠場のフンメルスのポジションにはボアテングが入り、これまでボアテングが務めていた右SBには、また本職はCBのムスタフィが入った。トリプルボランチには、ラーム、クロース、そしてケディラではなくシュバインシュタイガーがアメリカ戦に続いて先発する。

 そしてアルジェリア代表はそのトリプルボランチに対して、激しいプレッシングを仕掛けていった。グループGの第2戦で、ガーナ代表がドイツ代表を相手に取った戦略と良く似ている。

 ガーナ代表のように果敢に前からプレスを仕掛けていくものではないが、中盤のクロースにはラセンが、シュバインシュタイガーにハリシェが厳しく早く寄せるなど、そうしてアルジェリア代表は相手からボールを奪うや否や、鋭いカウンターを繰り出していく。

 中央をプレッシングで抑えられたときに、これまでSBを務めたボアテングとヘーヴェデスの本職はCBであるため、SBとして効果的な役割を果たせないことはガーナ戦で明らかになったことだが、同じくムスタフィもアルジェリアを相手に上手く機能していなかった。シュバインシュタイガーとの間にはコンビネーションの不足を露呈し、起点はおろか、右サイドを崩していくこともできない。

 ドイツ代表は前半戦を通してカウンターの脅威にさらされながら、サイドからの有効な攻撃を仕掛けることが出来ず、中央からの苦し紛れのミドルシュートが目立った。

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