批判が起こったイタリアのトレーニング
「調整方法は科学的に最高の手段がとられていたはずだった。マナウスの気候を再現するテント、回復を促進するための特殊なウェアーに手袋、そしてソックス。ただ最終的に我われが見たものは、暑さに苦しむアッズーリの姿だった。果たして準備は、最善の方法で行われたのだろうか?」
グループリーグ敗退が決まって以降、イタリアでは当然のように「なぜ失敗したのか」という原因探しが始まった。選手選考に戦術などの問題も指摘される中、やはり批判に上がるのは大会前のトレーニング、調整についてだ。
冒頭の一節は26日付のガゼッタ・デッロ・スポルトの記事だが、このようにメディアは批判を開始する。我われは核心に少しでも近づくと同時に、分かり易くキャッチーな答えを求めるものだが、事情はもう少し複雑のようだ。
フィジカルトレーナーとしてセリエAの数クラブ、また伊オリンピックチームのもとで働き、チェゼーナ時代には長友佑都の面倒も見たマッティア・トッフォルッティ氏に話を伺った。
「手許にデータがないから詳細までは分かりかねるが」と前置きした上で、彼はこう語った。
「こういうことがあるとすぐにメディアはトレーニングのせいにするが、事態はそこまで簡単ではない。事実、イタリア対イングランド戦でイタリアはドイツに次いで全32チーム中2位の走行距離を叩き出している。少なくともこの事実からは『準備に間違いがあった』という言い方は出来ない」
「トレーニングとは、選手が『よし、トレーニングをしよう』と決めて、過不足無く実行すればその通りに結果は出るものだ」とトッフォルッティ氏は言う。実際、決めたことを忠実に実行したからこそマナウスでのイングランド戦ではあれだけ走ることが出来たわけである。