ギリシャが腹をくくってしまったカツラニスの退場
6月27日、代官山 蔦屋書店で「フットボール“トーク”チャンネル」を開催。植田路生編集長が西部謙司氏、チェーザレ・ポレンギ氏をゲストに迎えてブラジルW杯を1分2敗で敗退したザックジャパンついて語り合った。
植田(以下、植) 日本は、勝ち点を奪えずに迎えたギリシャ戦。必勝を期した試合ですが、先発は森重と香川に代えて今野と大久保を起用しました。前半から日本が非常に有利で、長谷部が大きな仕事をしてカツラニスを退場に追い込んだ。それでも1点を取れなかった。西部さん、どうしてこのような結果になったのでしょうか?
西部(以下、西) この試合はコートジボワール戦とは全く違う試合でしたね。試合後に選手はボールを持てたと言っていましたが、日本がボールを持てるのは当たり前。ギリシャは相手にボールを持たせたいチームで、日本はボールを持ちたいチーム。そういうチームが対戦すれば当然そういう展開になります。
その中で、僕はこの試合を楽観視していました。普通にやれば絶対大丈夫。でも普通じゃない状況になったのがカツラニスの退場。1人少なくなった時点でギリシャはもう守るしかない、勝ち点1しかないと。上手くいけばセットプレーで取れるかもしれないけど、基本的には守ることに腹を決めちゃいました。
ギリシャは引いて守ってスペースを消したら、体が大きいし相手の背後からの圧力が凄く強いので、ギリシャの選手を背負って受けるとなかなか前を向けないんですよ。スペースもない、高いボールもダメ。だから凄く攻め難くなる。
ただ、スペースがない代わりにアジリティもないから前半はチャンスも十分あったと思うんです。ところがカツラニスが退場したことで完全に引いちゃった。ギリシャに勝つ見込みが無くなったかわりに日本もものすごく攻め難くなっちゃった。
だからあの退場は結果論ですけど、良かったのか悪かったのか微妙な感じがしますね。もちろん相手の方が少ないんだから不利ではないですけど、やり難くなった。