“死の組”突破を国民が信じて疑っていなかった
90年イタリアW杯では大方の予想を覆して決勝トーナメント進出を果たしたが、02年日韓W杯、06年ドイツW杯ではグループステージ敗退に甘んじた。そして今回はウルグアイ、イングランド、イタリアと同居する厳しいグループ。しかし、これを受けてテレビ局が行ったアンケート調査では、65%が「決勝トーナメントに進出できる」と答えたという。
回答の大半は「ウルグアイに勝って、イタリアとイングランドには引き分ける」という、あまりに楽観的なもの。それとは対照的に「ファンの皆さんには、落ち着いてほしい。怖がってはいけないんだ」と国民に求めるピント監督の声は、もはや「惨敗しても私を責めるな」という逃げ口上にしか聞こえない。
(編注:実際にはウルグアイとイタリアを破り、イングランドに引き分けた。勝ち点7、なんと1位で死の組を突破した。国民の予想は当たったということになる)
そもそもピント監督は「超守備的」とも揶揄される及び腰の戦術と独善的な態度で事あるごとに批判を受けており、コスタリカでの人気はかなり低い。
「私の戦術が守備的かどうか、選手たちに聞いてみてくれ。正当な評価を下してくれるはずだ」と強気な姿勢を貫いているが、実は選手たちと指揮官を繋ぐ重要人物がいることも忘れてはならない。アシスタントコーチを務めるパウロ・セサル・ワンチョペだ。
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