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実は国民の半分以上が突破を信じていたコスタリカ。番狂わせを起こした小国の国内事情に現地在住記者が迫る

ウルグアイ、イングランド、イタリア――。歴代優勝国が3ヶ国入る“死の組”グループDに入ったコスタリカ。カリブ海に面した中米の小国は草刈り場になるかと思われたが見事突破。ベスト16を前に、大会前に彼の国に詳しい記者が書いたレポートを掲載する。

text by 池田敏明 photo by Getty Images

犯罪率の高さ。国内リーグも盛り上がりに欠ける

(原稿執筆はW杯開幕前)

 コスタリカの国土面積は、日本の九州と四国を合わせた程度しかないが、その約25%が国立公園や自然保護区に指定されている。豊かな自然と穏やかな気候に恵まれたこの国には、地球上の生物種の約5%が生息すると言われ、自然を保護しながら観光するエコツーリズム発祥の地としても有名だ。

 心優しく陽気な国民性のコスタリカ人はとにかく人懐っこい。ラテン特有のルーズな感覚や大らかさを容認してしまえば、コスタリカでの滞在を心から満喫することができるだろう。

 しかし、“理想郷”のように語られることが多い反面、看過できない問題点も多々ある。中米諸国の中では治安の良い国として知られているが、近年は急激に悪化しており、凶悪犯罪の件数が急増中。日本人の観光客や滞在者が強盗の被害に遭う事例も報告されている。

 2005年の世界クラブ選手権に参加したデポルティーボ・サプリサのホームスタジアム近辺は首都サンホセの中でも特に治安の悪い地域として知られ、拳銃を使用した殺人事件も頻発している。このような地域は道端や空き地にゴミが散乱して衛生面も悪く、エコの精神は微塵も感じられない。

 麻薬絡みの犯罪も多い。特にカリブ海沿岸地域は貧困も相まって薬物が横行している。のどかで平和な空気が流れる地域がある反面、緊張感漂う場所もある。それがコスタリカの特徴だ。

 極端な二面性は、サッカーの世界においても例外ではない。サッカーに熱狂的なお国柄でありながらも、国内リーグは、はっきり言ってあまり盛り上がらない。大半のスタジアムは数千人の収容人数ながら、スタンドの半分も埋まらない試合がほとんど。しかし、リーグ戦の上位4チームによる決勝トーナメントに突入すると状況は一変する。

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