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10番としての責任、そして挫折。香川が感じた本当のトップとの差。「もっと厳しい環境で勝ち取るしかない」

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「左サイドをやることで得ることも沢山あった」

 そして翌日。ザックジャパン最後の取材対応で、彼はザッケローニ監督に起用された左サイドでの役割について問われ、改めて自身の揺れ動いた微妙な思いを打ち明けた。

「この4年間、監督に求められたものはありましたし、左サイドでしたけど、自分で考えたポジションニングをしてきた中で、まだまだ完成度は最後までベストではなかったと思っている。このW杯でコンビネーションを作る起点になりたいと思っていたんですけど、結果もついてこなかったですし。

(ザック監督からは外に張ることを求められたが、最近は中に入ることが多かった?)その方が攻撃がうまく回る時もあるし、実際手応えを感じた試合もたくさんありました。

 でも、サイドに張るメリットも分かっていたので、そこのタイミングやポジショニングの使い方は、自分の判断でやるべきだと思っていた。ただ、まだまだ試合の流れを読む力やタイミングは、結果的にはこの3試合ではつかみきれなかった。力不足だったということじゃないですかね。

 ポジションへのこだわりは確かに最初の1~2年はありました。自分のベストポジションをやりたいという思いは全員が持っていると思うけど、我を出しても仕方ない。

 実際、マンチェスターへ行って左をやることが多かったんで、割り切っていましたね。このポジションをやることで得ることも沢山あったし、自信になることも多かったと思います」

 こうしてザック監督の要求を受け入れ、自分なりの左サイド像を確立させつつあった状態で挑んだ今大会だったが、世界を相手に確固たる違いを見せつけることはできなかった。

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