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日本代表が見ていなかった“相手の顔”。惨敗から残った希望とザックの遺産

text by 河治良幸 photo by Getty Images

対策が甘かったコートジボワール戦。引いた相手に工夫なかったギリシャ戦

 キャッチフレーズにはしなくても、対戦相手にも「自分たちのサッカー」がある。コートジボワールに関しては体格やゴール前のアプローチは全く違っても、ポゼッションから高い位置に起点を作り、前からプレスをかけるスタイルは日本と似通っていることを指摘した。

 ザッケローニ監督もそのことは認識していただろうが、その相手から主導権を奪うためのアプローチは過去のイタリア戦ともベルギー戦とも違うはずだ。

 MFのセレイがCBの間に入って捌く形は、敵将のラムーシ監督が日本戦に向けて工夫した部分だろうが、深い位置からワイドに展開し、相手の守備がサイドに偏ったところでクサビを入れる傾向はアフリカ予選から変わっていない。右SBのオーリエのオーバーラップからのクロスの上げ方にしてもそうだ。

 ギリシャ戦の場合は相手が10人になったシチュエーションで、かえって難しくなったと選手たちも語っていたが、中を締めてくる相手に対して、外に開いて攻めたのはいいが、外で攻め切ってしまった。

 内田が右から上がるようになった後半の途中から、中がかなり空く状況が生まれたが、そこに日本の選手が入っていけなかった。もちろんサイドからのクロスにFWがタイミング良く合わせていれば勝ち点3を取れたわけだが、交替カードも含めて非常に勿体ないスコアレスドローだった。

 コロンビア戦はスタメンを8人も入れ替えてきた相手に対し、日本はここまでの2試合に無い積極的な攻撃で相手のディフェンスに迫った。

 だが、そもそもハイプレスのスタイルでないコロンビアは自陣に待って構えるディフェンスで日本の攻撃を受け止め、ボールを持てばシンプルな展開と前線のキープ力を活かして中盤を破り、日本のDFラインを直接的に脅かした。

 攻撃が高い位置、守備が低い位置という状況になり、しかも全体をコンパクトに維持するスタイルの日本は激しいアップダウンを強いられた。

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